「都市ガスを乗り換えれば安くなる」の前提条件と例外|原料費調整の上限・補助終了・規制解除【2026年10月】

  • 2026.10.28
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「安くなる」と言うとき、何と比べているのか

都市ガスの乗り換えをすすめる案内では、「○○ガスの一般料金より年間○円おトク」という書き方をよく見かけます。ここでいう比較の基準は、ほとんどの場合、地域の大手都市ガス会社の一般料金です。気をつけたいのは、この基準となる料金そのものが変わることです。

たとえば東京ガスは2026年4月27日付のお知らせで、東京地区等の料金を見直すと発表しました。約款の変更は2026年10月1日、料金の見直しは2026年11月検針分からです。標準家庭(月30m³)の場合の変化は次のとおりです。

  • 基本料金:1,056円 → 1,206円(月150円増)
  • 単位料金:155.94円/m³ → 155.96円/m³(託送料金の引き上げ分0.02円を含む)
  • 月のガス料金(税込):5,734円 → 5,884円(約2.6%増)

この試算は2026年4月検針分の原料費調整額を含み、国の補助による値引きは含んでいません。同じお知らせでは、払込書で支払う場合の発行手数料を月220円から270円に上げることも案内されています。

比較の基準が上がれば、乗り換え先との差額は広がって見えることも、縮んで見えることもあります。「一般料金より○%安い」という表示を見たら、いつ時点の一般料金と比べた数字なのかを最初に確認してください。

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例外1:原料費調整に上限があるかどうか

都市ガスの料金には、LNGなどの原料価格の動きを毎月反映する原料費調整額が加わります。ここで差が出やすいのが、調整額に上限があるかどうかです。

ENEOS都市ガスはFAQで、2023年11月分から原料費調整額に上限を設けない運用に切り替えたと説明しています。あわせて、原料価格が高騰すると、上限のあるガス会社より割高になる場合があることも認めています。東京ガスも、2026年10月の改定に合わせてガス灯契約など一部の契約向けに出した通知で、原料費調整の算定式の見直しと調整上限の廃止を案内しています。一般料金や各プランの上限の扱いは、最新の約款で確認してください。

原料価格が落ち着いている時期は、上限があってもなくても請求額はほとんど変わりません。差が出るのは、2022年のような高騰局面です。「平常時の単価が安い」ことと「高騰時にも安い」ことは別の話だと考えておくのが無難です。

例外2:規制料金の解除で比較の物差しが変わる

2017年4月の小売全面自由化のあとも、一部の地域では大手都市ガス会社の料金に国の規制(経過措置料金規制)が残っていました。東京ガスと大阪ガスの供給区域については、2021年に国の審議会で規制の解除が了承されています。

残っていた東邦ガスについても、経済産業省は2026年6月5日、規制の対象となる区域の指定を2026年10月1日付で解除すると発表しました。パブリックコメント(2026年1月23日〜2月21日)と、電力・ガス取引監視等委員会への意見聴取(2026年3月23日回答)を経た判断です。

規制が外れると、大手の料金も国の認可を受けない自由料金と同じ扱いになります。乗り換えの判断で「規制料金だから安心、自由料金だから割高」という単純な見方は成り立ちにくくなり、約款と料金表どうしを見比べる必要が出てきます。解除後の料金や監視の仕組みについては、経済産業省や各社の公式発表を確認してください。

例外3:補助金の終了で月ごとの請求額が動く

乗り換え前後の請求額を比べて「安くなった」「高くなった」と判断するとき、その月に国の補助があったかどうかで結果が変わります。

東京ガスの発表によると、2026年10月検針分には国の電気・ガス料金の支援として1m³あたり14円の値引きがありました(9月検針分は18円)。11月検針分は原料費調整で単位料金が1m³あたり5.69円下がりますが、約款改定後の係数の適用と補助の終了が重なり、標準家庭(月30m³)では前月より744円上がる見込みとされています(2026年9月29日発表)。

つまり、10月に乗り換えて11月の請求を前月と比べても、上がった分のかなりの部分は補助終了によるもので、乗り換え先の料金とは関係ありません。比べるときは同じ月・同じ使用量・補助を含めるかどうかを揃えた条件で、乗り換え前と後の料金表から計算し直すのが確実です。

例外4:使用量・セット割・支払い方法で差額が消える

使用量が少ないと差額も小さい

単位料金の差で安くなるプランは、使う量が少ないほど差額も小さくなります。仮に単位料金が1m³あたり3円安いプランなら、月30m³で月90円、年1,080円です。月10m³の単身世帯なら年360円にとどまります(あくまで計算例で、実在のプランの数値ではありません)。基本料金がどう違うかも、あわせて見る必要があります。

セット割をやめると逆転することがある

電気とガスを同じ会社で契約していると、セット割が付いていることがあります。比較サイトの解説では、東京ガスのガス・電気セット割は電気料金側から割り引く形とされています。ガスだけを他社に移すとこの割引がなくなるため、ガスの節約額からセット割の減額分を引いた金額で判断してください。割引額や条件は公式サイトで確認が必要です。

支払い方法の手数料

東京ガスの払込書発行手数料は、2026年11月検針分から月270円になります。年額にすると3,240円で、使用量が少ない世帯ではプラン変更による差額より大きくなることもあります。乗り換えを考える前に、口座振替やクレジットカード払いに変えるだけで下がる部分がないかを先に確認しておくと、比較がしやすくなります。

乗り換える前に確認したいこと

資源エネルギー庁は、自由化で会社を変えても保安点検や緊急時の対応は変わらないと案内しています。導管の点検や保安は、法律上ガス導管事業者の義務とされているためです。ガスの品質や「安全面が不安だから乗り換えない」という点は、判断の決め手になりにくいと言えます。そのうえで、次の点を書面で確認しておくと安心です。

  • 登録ガス小売事業者かどうか(エネルギー白書2025によると、2025年4月までに283者が登録)
  • 比較の基準になっている一般料金の時点と、補助を含めた試算かどうか
  • 原料費調整額に上限があるか、算定に使う原料の比率や基準価格
  • 解約金や契約期間の縛りの有無
  • 今の契約にセット割や長期利用の特典があり、乗り換えでなくならないか
  • 支払い方法による手数料の違い

「都市ガスは乗り換えれば安くなる」は、原料価格が落ち着いていて、セット割の影響がなく、一定以上ガスを使う世帯ではある程度当てはまります。一方、2026年10〜11月は基準料金の改定、規制の解除、補助の終了が重なった時期です。金額の比較は、各社の最新の料金表と約款を使い、条件を揃えて自分で計算し直すのがいちばん確実です。本記事の数値は2026年10月28日時点で確認できた公表情報にもとづいています。

参考にした情報源

※ 本記事は 2026年10月28日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。

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