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契約アンペアは「10Aあたり月311.75円」で動く固定費
家庭の電気料金は「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で組み立てられています。このうち基本料金だけは、電気を使っても使わなくても毎月同額で、契約アンペアによって決まります。東京電力エナジーパートナーの従量電灯B・スタンダードSは、2026年5月時点で公開されている料金表によれば、基本料金が10Aあたり311.75円(税込)の刻みです。10Aで311.75円、20Aで623.50円、30Aで935.25円、40Aで1,247.00円、50Aで1,558.75円、60Aで1,870.50円という並びになります。
ここで押さえておきたいのは、契約アンペアを下げても電力量料金の単価は1円も変わらないという点です。従量電灯B・スタンダードSの電力量料金は同じく2026年5月時点で第1段階(〜120kWh)29.80円、第2段階(120〜300kWh)36.40円、第3段階(300kWh超)40.49円で、これは10A契約でも60A契約でも共通とされています。つまりアンペアを1段階下げれば、その差額がまるごと毎月の請求から消えます。
年額に直すと輪郭がはっきりします。40Aから30Aへ下げれば月311.75円・年3,741円。60Aから40Aなら月623.50円・年7,482円。50Aから30Aなら月1,247円・年14,964円です。しかもこの削減額は使用量と無関係に一定なので、電気をあまり使わない世帯ほど、請求総額に占める削減割合は大きくなります。
逆に言えば、電気を大量に使う世帯にとってアンペアの見直しは「効くが効き幅が限られる」打ち手です。月1万5,000円の電気代のうち311.75円は約2%にすぎません。まずは自分の家がどちらの側にいるかを把握することが先になります。
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関西・中国・四国・沖縄はそもそもアンペア制ではない
この打ち手には、大きな前提条件があります。契約アンペアという概念が存在しないエリアがあるのです。関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の各エリアは、アンペア制ではなく「最低料金制」を採用しているとされています。
最低料金制の標準的なメニューである従量電灯Aは、最初の15kWhまでを最低料金として定額で徴収し、そこから先を3段階の従量料金で積み上げる構造です。同時に使える最大需要容量が6kVA未満の家庭が対象で、これを超える場合はkVA単位で契約する従量電灯Bなどに移ります。つまりこれらのエリアの一般的な家庭には「アンペアを1段階下げて月311.75円減らす」という選択肢自体がありません。
自分がどちらのエリアにいるかは、検針票やWeb明細の契約種別欄を見れば分かります。「従量電灯B 30A」のようにアンペア表記があればアンペア制、「従量電灯A」で最低料金の行があれば最低料金制です。最低料金制エリアの場合は、基本料金側を削る余地が小さいぶん、電力量料金の単価が安いプランへの切り替えや、使用量そのものの削減に軸足を移すことになります。以下はアンペア制エリアを前提とした話として読んでください。
世帯構成・使い方別に「何Aまで下げられるか」を足し算で確かめる
下げられるかどうかは、平均使用量ではなく「1年でいちばん電気を使う瞬間の同時使用量」で決まります。東京電力エナジーパートナーが公開している機器別のアンペア目安では、エアコン10畳用の冷房時が5.8A(立ち上がり時14A)、暖房時が6.6A(立ち上がり時20A)、電子レンジ15A、IHクッキングヒーター14A、IHジャー炊飯器13A、ドライヤー12A、電気ケトル11A、掃除機10A、電気カーペット8A、冷蔵庫2.5A、テレビ2Aとされています(数値は目安で、機種により異なります)。この目安を足し算すれば、おおよその必要アンペアが出せます。
単身世帯|20Aは冬とドライヤーで詰む
冷蔵庫2.5A+テレビ2A+電気ケトル11Aなら合計15.5Aで、20A契約でも収まります。ところが冬にエアコン暖房を入れると、立ち上がり時が20A。冷蔵庫とテレビを足すだけで24.5Aとなり、20A契約では落ちます。ここにドライヤー12Aが重なれば36.5Aで、40Aが必要になる瞬間が生まれます。
暖房が電気式でない、あるいは在宅時間が短い単身世帯なら30Aから20Aへ下げて月311.75円・年3,741円。一方、冬にエアコン暖房とドライヤーが重なる生活なら、30Aは維持したほうが無難です。
2人世帯|夕方のピークが40Aの境界線
夕方に電子レンジ15A+IHジャー炊飯器13A+冷蔵庫2.5A+テレビ2Aが重なると32.5A。ここにエアコン暖房の定常6.6Aを足して39.1Aで、40Aにぎりぎり収まります。ただし暖房の立ち上がり20Aと重なった瞬間は52.5Aとなり、40Aでは遮断されます。
調理と暖房の立ち上がりを時間的にずらす運用ができるかどうかが、50Aを40Aに下げられるかの分かれ目です。下げれば月311.75円・年3,741円ですが、毎冬ブレーカーが落ちるストレスと引き換えになります。
3〜4人世帯・オール電化|下げる側ではなく別の打ち手
IHクッキングヒーター14A+IHジャー炊飯器13A+電子レンジ15A+エアコン暖房6.6A+冷蔵庫2.5A+テレビ2Aで53.1A。これは特別な使い方ではなく、平日夕方の標準的な光景です。4人世帯で60A契約なら、下げる余地はほぼないと考えたほうがよいでしょう。
オール電化や電気自動車の充電がある家庭はさらに上振れします。この層では、アンペアを削るより、時間帯別の料金メニューや太陽光・蓄電池との組み合わせ、あるいは使用時間の移動のほうが効き幅が大きくなります。
下げる前に確認する条件|1年間は戻せない、工事が有料になる場合がある
アンペアを下げる判断は、一度実行すると簡単には巻き戻せません。東京電力エナジーパートナーの案内では、契約開始後1年間は契約アンペアを変更できないとされ、「1年間で最もたくさん電気を使うときにあわせたアンペア数で契約してほしい」と明記されています。夏の穏やかな時期に軽い気持ちで下げると、冬に落ちても戻せないという状況が起こり得ます。
手続き自体はWebから24時間可能で、スマートメーターが設置済みであれば原則として立ち会いは不要、遠隔で設定が変わります。基本料金は変更となった日から日割りで精算されると案内されています。ただしアナログ式メーターが残っている場合はブレーカーの取り替えが必要で、設備状況によっては電気工事店による工事が必要となり、その費用は自己負担になる場合があるとされています。60Aを超える容量を希望する場合や、宅内配線・分電盤が古くて対応できない場合も同様です。
もうひとつの落とし穴が賃貸物件です。建物全体の受電設備の都合で、戸別に契約アンペアを変更できない物件があります。工事の可否も含め、実行前に管理会社と契約先の小売電気事業者の両方に確認してください。具体的な取り扱いは各社の公式案内で確認するのが確実です。
「基本料金0円プラン」に替えるのと比べてどちらが得か
アンペアを下げる以外に、基本料金そのものがないプランへ移る道もあります。ここは数字を置くと判断しやすくなります。
オクトパスエナジーは2026年4月28日に単価を改定しており、東京エリアでは基本料金0円の「シンプルオクトパス」が一律30.93円/kWh(燃料費調整なし)、基本料金ありの「グリーンオクトパス」が30A契約で873.00円+電力量料金19.27円/24.47円/27.86円(燃料費調整あり・上限なし)とされています。
この2つの損益分岐点は、873円÷(30.93円−19.27円)=約74.9kWh/月です。月75kWhを超えると、基本料金を払うグリーンのほうが安くなる計算になります。しかも120kWhを超えて第2段階に入っても単価差は6.46円あるため、使えば使うほど差は開きます。月75kWhは、従量電灯B・30A契約なら基本料金と電力量料金の合計で3,000円台前半にとどまる水準で、総務省の家計調査をもとにした各社の集計で2025年の電気代平均が単身世帯で月7,337円、4人世帯で月13,928円とされていることを踏まえると、多くの世帯が通年で上回る水準です。
契約アンペアが大きいほど基本料金も上がるので、分岐点も上に動きます。仮に基本料金が契約アンペアに比例するとすれば、60A契約では分岐点は月150kWh前後になる計算です。それでも3〜4人世帯の平均的な使用量には届きません。つまり「基本料金0円」が効くのは、セカンドハウスや単身赴任先など、月の使用量が極端に少ない契約に限られるという整理になります。
加えて注意点が2つあります。ひとつは、シンプルオクトパスの適用期間は1年間で、12か月経過後は自動的にグリーンオクトパスへ切り替わるとされていること。もうひとつは、シンプルには燃料費調整がなくグリーンにはあるため、燃料費調整額がプラスの月は分岐点が上に、マイナスの月は下に動くことです。上の計算は燃調ゼロを仮定した単純比較にすぎません。
なお「基本料金0円」は業界の標準ではなくなりつつあります。Looopでんきは2025年4月1日に「スマートタイムONE」をリニューアルし、託送基本料金と容量拠出金相当額で構成される基本料金を新たに設定したとされています。単価はエリアと契約容量(kW)によって異なります。0円プランを前提に設計した家計は、改定の告知を見落とさないようにしてください。
2026年11月の託送料金改定と、判断のタイミング
いま基本料金まわりで最も大きい変数が、託送料金の改定です。2026年7月10日、一般送配電事業者8社が経済産業大臣へ収入の見通しの変更承認申請を提出し、国の審査を経て2026年11月1日から新しい託送料金が適用される予定とされています。
九州電力は2026年8月3日付のお知らせで、2026年11月1日から託送料金の見直しを電気料金へ反映すると告知しつつ、具体的な料金単価は「9月を目途にお知らせします」としていました。つまり本稿執筆時点の2026年9月中旬は、改定日は決まっているが家庭向けの新単価がまだ出そろっていない、という過渡期にあたります。反映の仕方は契約先や料金メニューによって異なるため、自分の契約でいくら上がるかは各社の発表を待つ必要があります。
ここで前節の「1年間は変更できない」というルールが効いてきます。託送料金の改定が基本料金側に乗るのか、電力量料金側に乗るのかによって、アンペアを下げる効き幅は変わります。基本料金のアンペア単価が上がるなら下げる価値は増し、電力量料金側に寄せられるなら相対的に薄まります。1年間戻せない選択である以上、11月の新単価が自分の契約先から告知されてから動くほうが、判断材料が揃います。
あわせて押さえておきたいのが補助の期限です。2026年の電気・ガス料金の支援は7月使用分から9月使用分までの3か月間が対象で、10月以降の継続については2026年9月時点で政府からの正式な発表がないとされています。支援がなくなれば、10月以降の請求は同じ使い方でも増えます。11月の託送料金改定と補助の終了は別の話なので、請求額が上がったときにどちらの影響なのかを混同しないよう、9月・10月・11月の検針票は並べて保存しておくことをおすすめします。実際の単価と適用時期は、必ず契約先の公式発表を確認してください。
参考にした情報源
- アンペア変更の手続き方法を知りたい – 東京電力エナジーパートナー株式会社
- 主な電気機器のアンペアの目安│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー
- 東京電力 従量電灯B 単価表 2026年最新版|エネジェント
- 東京電力 スタンダードS 単価表 2026年最新版|エネジェント
- オクトパスエナジー 単価表 2026年最新|グリーン・シンプル エリア別料金
- 料金プラン|Looopでんき公式サイト
※ 本記事は 2026年9月18日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。
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