国民年金保険料の免除・納付猶予の申請手順とつまずく条件|月17,920円、遡れるのは2年1か月【2026年8月】

  • 2026.08.27
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2026年度の保険料は月17,920円|まず「年度の区切り」でつまずく

国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生・無職の方など)が納める保険料は、日本年金機構の公表によると2026年度(令和8年度)は月額17,920円です(2026年8月時点)。12か月分では215,040円で、家計の固定費としてはスマホ2回線分に近い規模になります。

この負担が重いときに使えるのが免除・納付猶予制度ですが、最初のつまずきがここにあります。保険料そのものの年度は4月〜翌年3月なのに、免除・納付猶予の申請の年度は7月〜翌年6月と区切りが違うのです。2026年度分(2026年7月〜2027年6月)の申請は2026年7月から受け付けられており、審査に使われるのは2025年(令和7年)中の所得です。さらに学生納付特例だけは4月〜翌年3月が1年度とされており、ひとつの制度の中に3つの「年度」が併存しています。「今年の収入が落ちたから今すぐ免除になる」わけではなく、判定材料は原則として前年の所得だ、という点も含めて押さえておきたいところです。

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申請の手順を5ステップで整理する

ステップ1〜3:区分の見当をつけ、書類を集め、提出する

ステップ1は、どの区分を狙うかの見当づけです。制度は全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予・学生納付特例に分かれ、それぞれ所得基準が違います。申請書は1枚で、審査は上位の区分から順に判定される形が取られています。

ステップ2は書類の準備です。マイナンバーカード、またはマイナンバーが確認できる書類と身元確認書類が必要です。失業を理由にする場合は雇用保険被保険者離職票や雇用保険受給資格者証などの添付が求められます。

ステップ3が提出です。提出先は住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所で、郵送も可能です。マイナポータルからの電子申請にも対応していますが、1度の電子申請で申請できるのは7月から翌年6月までの12か月分とされています。複数年度をまとめて片づけたい場合は、年度ごとに申請が必要になる点に注意してください。

ステップ4〜5:結果通知を確認し、一部免除なら必ず納める

ステップ4は結果の確認です。審査を経て承認・却下の通知が届きます。ここで「申請したから終わり」と放置するのが、後述する最大の落とし穴につながります。

ステップ5は納付です。全額免除や納付猶予なら支払いは発生しませんが、一部免除の場合は減額後の保険料を納める必要があります。2026年度の減額後の保険料は、4分の3免除で月4,480円、半額免除で月8,960円、4分の1免除で月13,440円とされています。

つまずく条件①:所得を見られるのは「本人だけ」ではない

免除申請でもっとも多い誤解が、審査対象の範囲です。申請免除(全額・4分の3・半額・4分の1)は、本人・世帯主・配偶者の3者それぞれが所得基準を満たす必要があります。本人に収入がなくても、同居する親が世帯主として一定以上の所得があれば、全額免除は通りません。

日本年金機構が示す所得基準の目安は次のとおりです(2026年8月時点)。

  • 全額免除:(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
  • 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

一方、納付猶予は20歳以上50歳未満の方が対象で、審査されるのは本人と配偶者の所得のみ。世帯主の所得は対象外とされています。実家暮らしで親の所得がネックになるケースでは、免除ではなく納付猶予なら通る、という分かれ方をします。学生納付特例も本人の所得だけで判定され、基準は128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等です。自分の状況でどの区分に当てはまるかは、必ず年金事務所や自治体の窓口で確認してください。

つまずく条件②:一部免除は納めないと未納扱い、継続審査も区分で違う

承認後にこそ落とし穴があります。日本年金機構は「一部免除の承認を受けている期間は、減額された保険料を納付している必要があります」と明記しており、減額後の保険料を納めないと一部免除が無効となり、その期間は未納として扱われます。承認通知が届いた時点で安心してしまい、月8,960円の納付書を放置した結果、まるごと未納期間になる——これは避けたい失敗です。

もうひとつが翌年度の扱いです。申請は原則として毎年度必要ですが、全額免除または納付猶予の承認を受けた方が翌年度も同じ申請を希望する場合は、継続審査として自動的に審査が行われます。逆に言えば、一部免除の承認者や、後述する失業等による特例免除の承認者は、翌年度も自分で申請しなければなりません。「去年は自動で通ったから今年も大丈夫」という思い込みが、区分によっては通用しないということです。

失業・出産には別ルートがある|添付書類で結果が変わる

前年に収入があった人でも、離職していれば道があります。雇用保険被保険者離職票や雇用保険受給資格者証などを添付して申請すると、本人の前年所得をなかったものとして審査される「失業等による特例免除」が使えます。ただし世帯主・配偶者の所得審査は残るため、同居家族の所得次第では通らないこともあります。なお2026年度分(2026年7月〜2027年6月)でこの特例を使う場合、対象となるのは2024年12月31日以降の離職日とされています。会社を辞めた月にまず年金事務所へ相談する価値は大きいと言えます。

出産の場合はさらに別枠です。産前産後期間の免除制度は所得にかかわらず届出で適用され、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠は3か月前から6か月間)の保険料が免除されます。しかもこの期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の額に反映される、という点で他の免除と決定的に違います。出産予定日の6か月前から届出でき、出産後の届出も可能とされています。妊娠85日以上の出産が対象で、死産・流産・早産も含まれます。届出を忘れると単純に損をする制度なので、心当たりがあれば早めに確認してください。

遡れるのは2年1か月、取り戻せるのは10年|追納を数字で見る

過去分についても、申請書が受理された月から2年1か月前まで(すでに納付済みの月を除く)は遡って申請できます。2026年8月に申請すれば、2024年7月分あたりまでが射程に入る計算です。未納のまま放置している月があるなら、まずこの範囲を潰すのが先決です。

承認後に「やっぱり納めたい」となった場合は追納制度があります。追納できるのは承認された月の前10年以内の期間で、この期限を過ぎるとその月の保険料は二度と納められません。また承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。手続きは年金事務所へ追納申込書を提出し、届いた納付書で納める流れで、原則として古い期間から納付します。2026年度に追納する場合の月額は、全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間で16,850円〜17,510円とされています。

損得の目安も数字で置いておきます。2026年度の老齢基礎年金の満額は月7万608円(年84万7,300円)とされており、480か月で満額に達する計算では1か月の納付が年金額に与える影響は年およそ1,765円です。全額免除の期間は年金額に2分の1が反映されるため、その差は1か月あたり年およそ883円。12か月分だと年金が年約1万600円少なくなる一方、追納には215,040円(加算額を除く)かかるので、単純計算では回収に20年前後という試算になります。ただし追納した保険料は社会保険料控除の対象になるため、実質的な負担はこれより軽くなります。反映割合は4分の3免除で8分の5、半額免除で8分の6、4分の1免除で8分の7とされ、納付猶予と学生納付特例は受給資格期間には算入されるものの年金額には反映されません

最後に、免除申請の本当の意味を確認しておきます。障害基礎年金や遺族基礎年金には保険料納付要件があり、免除・猶予の承認を受けた期間はこの要件を満たす期間として扱われますが、未納期間は扱われません。つまり「払えないから放置」と「払えないから申請する」は、将来の老齢年金の額以上に、いま万一のことがあったときの保障で差がつきます。固定費を削る話としては地味ですが、月17,920円の支出を止めながら保障だけは残せる手続きだと考えると、優先順位は高いはずです。制度の詳細や自分が該当するかどうかは、日本年金機構の公式サイトおよび年金事務所・市区町村窓口で必ず確認してください。

参考にした情報源

※ 本記事は 2026年8月27日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。

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