固定費は「やめるときの費用」が安い順に片づける|違約金上限1,100円と、下げられない水道の基本料金【2026年8月】

  • 2026.08.24
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固定費は「月いくらか」ではなく「やめるときいくらかかるか」で並んでいる

固定費の見直しがいつも途中で止まるのは、たいてい金額の大きい順に手をつけているからです。住宅ローン、保険、通信費と並べると、上に来るのは手間も費用もかかる項目ばかりで、結局どれも終わらないまま翌月の請求が来ます。

実際に手が動くのは、「やめるとき・変えるときにいくら費用が発生するか」で並べ替えたときです。同じ月5,000円でも、明日解約しても1円もかからないものと、解約した瞬間に数万円の残債が立つもの、そもそも解約という選択肢が存在しないものでは、着手すべき順番がまったく違います。金額ではなく「出口の費用」で分けると、固定費はおおむね次の4層に分かれます。

  • 第1層:違約金も精算もなく、今日止められるもの(有料オプション、サブスク、使っていない付加サービス)
  • 第2層:止められるが精算が発生するもの(通信の契約解除料、工事費や端末代の残債)
  • 第3層:止められるが元に戻せないもの(生命保険・医療保険)
  • 第4層:そもそも止められないもの(水道の基本料金、税・社会保険料)

以下で挙げる制度・料金の数値は、いずれも2026年8月時点で公表資料を確認したものです。改定が続いている分野なので、実行する前に各事業者・自治体の公式発表を必ず確認してください。

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第1層:出口の費用がゼロだから、金額が小さくても最初に片づける

有料オプション、動画や音楽のサブスク、使っていない補償サービス。1件300〜1,000円程度で「あとでいい」と後回しにされがちですが、この層は手続きの費用も違約金もゼロです。着手コストがゼロなら、期待できる削減額が小さくても割に合います。ここを片づけないまま保険や住宅ローンに向かうと、負荷の高い作業で息切れして全体が止まります。

ひとつ注意したいのが、解約する日です。総務省の携帯電話ポータルサイトでは、解約月の利用料金について「日割り分の支払いでよい」「一月分の支払いを要する」などの定めが契約ごとにあり、解約日によって負担料金が変わることがあると案内されています(2026年8月時点)。日割りがない契約なら月初に解約しても月末に解約しても支払額は同じで、月初に急いで解約するとその月の残り日数は使えたはずのサービスを捨てることになります。締め日と、手続きがいつ反映されるかを先に確認してから操作するのが確実です。

契約したばかりなら「初期契約解除」という出口もある

光回線などの通信サービスには、契約書面を受け取ってから8日間は事業者の合意なく契約を解除できる初期契約解除制度があります。ただし完全な無償撤退ではなく、利用した日数分の料金や事務手数料、工事費などは請求されることがあるとされ、携帯電話端末の購入はキャンセルできない場合が多いと総務省は説明しています。大手が採用する「確認措置」は、電波状況が不十分だった場合や説明が不十分だった場合など事業者側に一定の責任があるケースに限り、端末を含めて解除できる仕組みです。どちらも「8日」という期限がある以上、申し込み直後の違和感は先送りしないほうがよいことになります。

第2層:通信は「違約金」より「残債」のほうが本体になっている

ここ数年で、通信契約の出口はかなり安くなりました。2022年2月22日に公布され同年7月1日に施行された電気通信事業法施行規則等の改正により、2022年7月1日以降に締結された契約(法人契約を除く)では、期間拘束契約の違約金はそのサービスの月額料金相当額が上限とされています。さらに規制対象として指定された事業者のサービスでは、1,100円と月額料金のどちらか低いほうが上限になると案内されています(2026年8月時点)。

同じ改正で、解約に伴って請求できない費用も整理されました。総務省が挙げているのは、解約手数料、事業者変更手数料(いずれも利用者の便宜を図るためのオプション手続きの料金を除く)、実際に工事が行われない場合の工事費、レンタル物品の返送料(利用者が他の返送手段を選べる場合を除く)です。つまり「解約したいけれど手数料が怖い」という不安の多くは、新しい契約に関してはすでに小さくなっています。

一方で、規制の外側に残るものがあります。工事費の分割払いの残債と、端末代金の分割払いです。総務省も、端末代金を分割払いにしている場合は支払いが終わるまでの数か月から数年は毎月請求がある点に注意するよう促しています。違約金が1,100円でも、端末残債が5万円あれば出口の費用は5万円です。乗り換えを検討するときは、契約解除料・工事費残債・端末残債の3つを契約者向けページで数字として確認してから判断すると、見込み違いが起きません。

もう一点、この上限規制は2022年6月30日までに締結された契約や、その更新契約などは適用除外とされています。同じ回線を長く使い続けている人ほど、旧ルールの高い違約金が残っている可能性があるということです。「最近は違約金が安いらしい」という一般論ではなく、自分の契約がいつ結ばれたものかを確認してください。

第3層:保険は解約返戻金より「入り直せない」コストが大きい

保険料は金額が大きいので真っ先に手をつけたくなりますが、出口の費用で並べると後ろに来ます。公益財団法人 生命保険文化センターは、解約時に受け取れる解約返戻金について、金額は保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などで異なり、通常は払い込んだ保険料総額より少なく、契約後短期間での解約や定期保険など保障性の高い商品では、まったくないかごくわずかだと説明しています(2026年8月時点)。

より重いのはその先です。同センターは、解約した時点で契約は消滅して以降の保障はなくなり、元に戻すこともできないこと、もう一度契約する場合は年齢が上がったことで保険料が割高になったり、健康状態によっては保険料の割増など特別条件が付いたり、契約できなかったりする場合があることを挙げています。第2層の残債は金額が確定していますが、この層のコストは「将来入り直せるかどうか」という確定できない形で発生します。だから順番は後ろで、判断には時間をかける価値があります。

手続き面の注意も明記されています。解約には所定の書類の提出が必要で、口頭での申し出や単に保険料の払い込みを中止しただけでは解約手続きとみなされません。払い込みを止めて放置すると、意図しない形で契約が失効する可能性があります。なお、保障を残しながら負担を下げる方法として、保障額の減額や特約の解約といった選択肢が用意されている商品もあります。全部を解約する前に、契約している保険会社の公式窓口で自分の契約に何が使えるかを確認するのが順当です。

第4層:やめられない固定費は、2026年も上がる前提で家計に置く

水道料金は、第4層の典型です。基本料金はメーターの口径で決まり、使用量が少なくても毎月発生します。電気やガスと違って乗り換え先の事業者もありません。そしていま、この層が上がっています。

千葉県営水道は、2026年(令和8年)4月1日以降の使用分から、全利用者の平均で18.6%の引き上げを実施しています。県の資料では、口径13mmの基本料金が380円から470円へ、1〜10立方メートルの従量料金が1立方メートルあたり57円から67円へ改定され、標準的な家庭の例として、4人家族(口径20mm・月24立方メートル)で月額約800円の増加(改定率18.5%)、3人家族(口径20mm・月20立方メートル)で月額約620円の増加(同19.1%)が示されています。

静岡市も2026年6月使用分から水道料金・下水道使用料を改定しました。一般家庭にあたる少量使用者の改定率は8.2〜8.4%で、口径20mm・2か月の使用水量40立方メートルの例では、合計が10,768円から11,648円へ880円増える計算が示されています(改定率8.2%)。値上げの理由は、老朽化した施設の更新や耐震化の財源確保とされています。

この層でできることは削減ではなく、上がる前提で予算に織り込むことです。節水は従量部分にしか効かず、基本料金は使用量を減らしても消えません。自分の地域がいつ改定するかは自治体の水道局・企業局の公表資料で確認できます。第1層から第3層で作った余力を、この層の増加に充てる、という順番で家計を組み立てるほうが現実的です。

4層に分けたあと、実際にどう進めるか

順番そのものが、この整理の成果物です。次の流れで進めると、途中で止まりにくくなります。

  • まず第1層を全部出す:クレジットカードと携帯の明細を1か月分だけ見て、金額の大小に関係なく「使っていない」ものを列挙し、締め日を確認して解約する
  • 次に第2層の3つの数字を確認する:契約解除料、工事費残債、端末残債。乗り換えの判断は、この合計と、乗り換え後に減る月額を比べてから
  • 第3層は期限があるものだけ先に:更新が近い契約は検討し、そうでなければ日を改める。解約以外の手段があるかを先に確認する
  • 第4層は削減の対象から外す:改定予定を調べ、年間の増加分を予算に入れておく

この記事で挙げた制度と料金は2026年8月時点で確認したものです。通信の規制は契約日によって適用が分かれ、水道料金は自治体ごとに時期も率も異なります。実行の前には、契約先の事業者ページ、総務省の消費者保護ルールの案内、お住まいの自治体の公表資料など、一次情報にあたって最新の内容を確認してください。

参考にした情報源

※ 本記事は 2026年8月24日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。

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