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固定費は「金額の大きさ」で並べても減らない
総務省統計局の家計調査(家計収支編)によると、2025年平均の二人以上の世帯の消費支出は1か月あたり314,001円でした(2026年2月公表)。この中から毎月自動で出ていくお金を抜き出し、金額の大きい順に並べて上から潰していく——という見直し方は直感的ですが、空振りしやすい方法です。金額が大きい項目ほど削りやすいとは限らないからです。
請求書に載る金額は、たいてい「単価 × 数量 × 契約数」の掛け算でできています。電気代なら1kWhあたりの単価×使った量、スマホ代なら1回線あたりの月額×契約している回線数です。同じ月1万円でも、単価が高いのか、量が多いのか、契約が多いのかで打つ手はまったく違います。
そして3つの因数は、削減のしやすさが同じではありません。以下では2026年8月時点で確認できる制度と料金を使って電気と通信の単価を分解し、どの因数から触るのが効率的かを整理します。
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電気代の単価には「誰と契約しても同じ」部分がある
家庭向けの電気料金は、おおまかに「基本料金(または最低料金)+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で構成され、そこから国の支援による値引きが差し引かれます。このうち再エネ賦課金は、どの電力会社と契約していても全国一律です。
経済産業省は2026年3月19日、2026年度の再エネ賦課金単価を1kWhあたり4.18円と設定したと公表しています。2025年度の3.98円から0.20円の引き上げで、初めて4円台に乗りました。この単価は2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されるとされています。月に300kWh使う世帯なら賦課金だけで月1,254円ですが、ここは新電力に替えてもプランを変えても動きません。
動かせるのは基本料金と電力量料金です。東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」については、2026年5月時点の料金表として、基本料金が30A契約で935円25銭、40A契約で1,247円(いずれも税込)、電力量料金は第1段階(120kWhまで)29円80銭、第2段階(120〜300kWh)36円40銭、第3段階(300kWh超)40円49銭と案内されています。単価は改定されるため、最新値は各社の公式料金表で確認してください。
さらに2026年8月時点では、国の電気・ガス料金支援が上乗せされています。経済産業省が2026年6月12日に公表した内容では、2026年7月・8月・9月使用分が対象で、低圧の電気は7月・9月使用分が1kWhあたり3.5円、8月使用分が4.5円、都市ガスは7月・9月使用分が1㎥あたり14.0円、8月使用分が18.0円の値引きとされています。これは期間限定の下駄であり、恒久的な単価引き下げではありません。
通信費にも制度で決まる単価が混ざっている
電気ほど目立ちませんが、通信費の請求にも自分では動かせない単価が入っています。
まず電話ユニバーサルサービス料です。総務省の資料では、2026年1月から12月までに適用される番号単価は約2.1円と算定され、端数処理後は1電話番号あたり月2円(税込2.2円)となっています。2025年12月利用分までは月3円(税込3.3円)だったため、2026年1月利用分から実質的に値下がりしました。NTT東日本やNTTドコモ、KDDIなども同時期の改定を告知しています。
次に電話リレーサービス料です。NTTドコモビジネスの案内では、2026年度は1番号あたり年間12円(税込13.2円)、月額に直すと1番号あたり月1円(税込1.1円)で、2026年4月利用分から適用されるとされています。
加えて2026年1月からは、ブロードバンドについてもユニバーサルサービス制度が始まりました。ソフトバンクの発表では、ブロードバンドユニバーサルサービス料は1回線あたり年2.2円(税込)で、2026年3月度の利用分の支払い時に請求されるとされています(請求締め日によっては4月度になる場合があるとのことです)。
金額はすべて足しても月に数円で、ここを削る話ではありません。重要なのは課金の単位です。ユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料は「1電話番号あたり」、ブロードバンドの分は「1回線あたり」。つまり使っていない番号や回線を持ち続けていると、通信量がゼロでも契約数の分だけ請求が積み上がる構造になっています。
削減できる順①:まず「契約数」を減らす
3つの因数のうち、唯一ゼロにできるのが契約数です。契約を1つ解約すれば、その契約に紐づく基本料も単価も使用量も、まとめて消えます。「何%減る」ではなく「その行が消える」ため、効果の読み違いが起きにくいのも利点です。
候補になりやすいのは、家族の旧回線、解約し損ねたモバイルルーター、通話用に残している2番号目、使わなくなった固定電話、そして月額課金のサービス群です。通信の付帯料金が番号単位・回線単位で課金されている事実は、休眠契約がゼロ円ではないことの裏づけでもあります。
ただし解約前に確認したい前提が3つあります。第一に端末の分割支払いが残っていないか。第二に他サービスとのセット割やポイント優遇の条件から外れないか。第三に解約月が日割りになるか満額請求になるか。ここを確認しないまま解約すると、消したはずの支出が別の行で増えることがあります。
削減できる順②:「単価」を下げ、最後に「数量」を削る
契約数を整理したら次は単価です。単価を下げる効果は「単価差 × 数量」で決まります。月300kWh使う世帯で1kWhあたり1円安いプランに移れば月300円ですが、月100kWhしか使わない世帯では月100円にしかなりません。「何円安いプランか」だけでなく「自分が何単位使うか」を掛けないと期待値がずれます。
このとき、再エネ賦課金のような全社共通の単価は先に引き算してから比較するのが実務的です。賦課金や国の値引きは各社の請求書に同じように乗るため、それを含めた総額で比べると、実際には差がついていない部分まで安くなったと誤読しやすくなります。
最後が数量です。使用量を減らす行動は生活の側に負担がかかるため、優先度としては最後に置くのが現実的です。ただし数量には他の因数にない特徴があります。使用量を減らすことは、動かせないはずの賦課金にも効くという点です。再エネ賦課金は使用量に比例するため、前述の第3段階単価で考えると、1kWh減らせば電力量料金40円49銭と賦課金4円18銭を合わせて44円台が浮く計算になります(燃料費調整と国の値引きは別途)。単価交渉には上限がありますが、数量はこの合計単価で効いてくるわけです。
つまずきやすいのは「使用分」と「請求月」のズレ
効果を確認するときに最も誤解が起きるのが、月の呼び方です。電力会社の「◯月分」は請求・検針の月を指すことが多く、実際に電気を使った月とは1か月ずれます。実際、東京電力エナジーパートナーは2026年9月分の燃料費調整に低圧供給で1kWhあたり4.50円の値引きを含めると案内していますが、これは経済産業省が示す8月使用分の支援単価に対応しています。
10月以降をどう見込むか
2026年8月時点で公表されている電気・ガス料金支援は9月使用分までで、それ以降の延長は確認できません。仮に延長がなければ10月使用分から低圧で1kWhあたり3.5円分の値引きが消え、月300kWhの世帯では1,000円強の増加として見えることになります。これは新たな値上げではなく一時的な値引きの終了ですが、家計簿の上では区別がつきません。延長の有無は公式の発表を確認してください。
効果測定は使用分ベースで
プラン変更や解約の効果を確かめるときは、請求月ではなく使用分の月で前年同月と比べるのが安全です。検針日と契約変更日がずれると初月だけ日割りや二重の基本料が発生することがあり、初月の請求額だけで判断すると効果を見誤ります。判断は2か月目以降の請求で行うのが無難です。
本記事の数値は2026年8月19日時点で公表されている情報にもとづきます。料金単価や支援制度は改定されるため、実際の判断前には各社の料金表と所管省庁の発表を確認してください。
参考にした情報源
※ 本記事は 2026年8月19日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。
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