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まず固定費の「平均の姿」を数字で確認する
固定費を見直すとき、最初にやることは削ることではなく分けることです。どの費目にいくら払っていて、そのうち契約を変えるだけで下がる部分がどれだけあるかを分けておくと、手を付ける順番が決まります。基準にするのは、総務省統計局が2026年3月に公表した「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」です。以下の金額はすべて2025年の1か月平均です。
二人以上の世帯(平均2.87人、世帯主の平均年齢60.7歳)の消費支出は月314,001円でした。このうち毎月ほぼ決まって出ていく費目は次のとおりです。
- 光熱・水道:24,547円(電気代13,219円、ガス代4,882円、他の光熱1,379円、上下水道料5,067円)
- 通信:11,672円
- 住居:18,678円(家賃地代8,095円、設備修繕・維持10,584円)
- 自動車等関係費:28,355円
単身世帯(平均年齢58.6歳)の消費支出は月173,042円で、内訳は住居21,667円、光熱・水道13,333円、交通・通信19,334円です。単身世帯の住居費は、二人以上の世帯より金額そのものが多くなっています。
平均を見るときの注意点が1つあります。二人以上の世帯の持家率は87.3%で、家賃を払っていない世帯も含めて平均しています。そのため家賃地代8,095円は、賃貸に住む世帯の実際の家賃よりかなり低い数字です。自分の家計と比べるときは、平均額と比べるのではなく、自分の明細で同じ費目に分けてください。
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固定費を「契約」「使い方」「動かせない」の3つに分ける
削る順番は、金額の大きさではなく「何を変えれば下がるか」で決めるのが現実的です。固定費は次の3つに分けられます。
A:契約を変えるだけで下がる
通信費(スマホ・ネット回線)、NHK受信料の支払い方法、サブスク、電気の料金プランや契約アンペアがここに入ります。一度手続きすれば、その後は何もしなくても毎月安くなります。
B:契約と使い方の両方で決まる
電気代とガス代です。料金単価は契約で選べますが、請求額の多くは使った量で決まります。季節による増減も大きい費目です。2025年の家計調査でも、1月と7月は前月の気温の影響で電気代が増え、消費支出全体を押し上げたと説明されています。
C:短期的にはほぼ動かせない
水道料金、住宅ローン、家賃、自動車の税金や自賠責などです。水道は事業者を選べず、家賃は基本的に引っ越しか更新時の交渉でしか変わりません。削れないわけではありませんが、手間とタイミングが必要です。
おすすめの順番は、Aの中で金額が大きいもの、Bの契約部分、Bの使い方、最後にCです。理由は次の見出しから1つずつ説明します。
最初に手を付けるのは通信費:年14万円の大半は契約で決まる
二人以上の世帯の通信費は月11,672円、年に換算すると140,064円です。2025年は名目0.9%減、実質4.9%減で、10大費目の中では数少ない減少項目でした。料金の安いプランへの乗り換えが進んでいることがうかがえます。
通信費を最初に見直すべき理由は3つあります。
- 請求額のほとんどがプラン(契約)で決まり、使い方を変えなくても下がる
- 一度変えれば効果が毎月続き、元に戻る心配がない
- 家族の人数分の回線と家のネット回線が重なっていて、重複を見つけやすい
見直すときは、スマホの請求を「回線料金」と「端末代の分割払い」に分けて見てください。端末代は契約を変えても残債が消えないので、すぐに削れるのは回線料金のほうです。家のネット回線がある場合は、スマホのデータ容量と合わせて考えます。家で光回線のWi-Fiを使える世帯が、スマホでも大容量プランを契約していることはよくあります。
次に小さな契約を整理する:NHK受信料は払い方で年924円変わる
金額は小さくても、手続き1回で毎年効果が続くものは、まとめて片付けると効率的です。代表的なのがNHK受信料です。
受信料は2023年10月に約1割値下げされました。総務省が認可した放送受信規約の変更や公表されている料金表によると、沖縄県以外の現在の額は次のとおりです。
- 地上契約:2か月払2,200円、6か月前払6,309円、12か月前払12,276円
- 衛星契約:2か月払3,900円、6か月前払11,186円、12か月前払21,765円
地上契約を2か月払で1年続けると13,200円なので、12か月前払に変えると年924円安くなります。衛星契約なら2か月払の年23,400円に対して12か月前払は21,765円で、差は年1,635円です。値下げの後は、口座振替かクレジットかといった支払い方法による料金差はなくなっているとされています。違いが出るのは「何か月分まとめて払うか」です。沖縄県は別の料額が設定されているので、NHKの公式案内で確認してください。
どちらの契約が該当するかは、衛星放送を受信できる設備があるかどうかで決まると規約で定められています。引っ越しや集合住宅の設備変更があったときは、自分の契約内容が今の受信環境と合っているかを公式の窓口で確認しておくとよいでしょう。
同じ考え方で、動画・音楽などのサブスク、使っていない有料オプション、クレジットカードの年会費も、この段階でまとめて整理します。どれも1件は数百円から数千円ですが、解約か支払い方法の変更だけで済み、生活を変える必要がありません。
光熱・水道は「契約部分」と「使用量部分」を分けて考える
二人以上の世帯の光熱・水道は月24,547円、年294,564円で、通信費の約2倍です。2025年は名目6.2%増、実質2.5%増で、電気代は名目10.1%増と大きく伸びました。金額では通信費より大きいのに2番目の順位にしているのは、削れる余地のうち契約だけで済む部分が限られるからです。
電気代(月13,219円)
契約で動かせるのは料金プランと契約アンペア(地域や電力会社によっては基本料金の決まり方が違います)です。基本料金の部分は契約を変えるだけで下がりますが、電力量料金の部分は使った量に比例します。まず検針票やWeb明細で「基本料金」と「電力量料金」を分けて見ると、契約変更でどこまで下がるかの上限がわかります。
ガス代(月4,882円)
都市ガスの地域では、事業者や料金プランを選べる場合があります。プロパンガス(LPガス)は料金を事業者が自由に決めるため、地域や契約によって差が大きいとされています。まず請求書で基本料金と従量単価を確認するのが出発点です。
上下水道料(月5,067円)
水道は自治体などの事業者が決まっていて、契約で選ぶ余地はほとんどありません。2025年も名目0.5%減と横ばいでした。削れるのは使用量だけなので、固定費の見直しでは後回しで構いません。
住居費と車は「次の節目」で見直す費目と割り切る
単身世帯では住居が月21,667円で、消費支出の1割強を占めます。それでも削る順番を最後にしているのは、家賃は引っ越し、住宅ローンは借り換え、と見直すたびに大きな手続きと初期費用がかかるからです。2025年の単身世帯の住居費は実質9.6%減で、消費支出の実質減少に最も大きく影響した費目でした。ただしこれは平均の動きで、個人の家賃が下がったことを意味するものではありません。
住居費や車の費用は、次のような節目にまとめて判断するのが現実的です。
- 賃貸:契約更新の時期に、更新料と引っ越しの初期費用を比べる
- 住宅ローン:金利の見直し時期や固定期間が終わる時期に、借り換えの諸費用と比べる
- 車:車検の時期に、保有を続ける費用と手放す・乗り換える費用を比べる
家計調査の自動車等関係費(二人以上の世帯で月28,355円)には車の購入費も含まれるため、毎月決まって出ていく固定費とは性質が違います。任意保険・駐車場・税金のように動かしにくい部分と、車種やプランで変えられる部分は分けて考えてください。
自分の家計で「削る順番表」を作る手順
最後に、ここまでの考え方を自分の家計に当てはめる手順をまとめます。
- 直近3か月分の明細(通帳、カード明細、検針票)から、毎月引き落とされているものを書き出す
- それぞれをA(契約で下がる)、B(契約と使い方)、C(節目まで動かせない)に分ける
- Aは金額の大きい順に並べ、上から手続きする(多くの世帯では通信費が最上位になる)
- Bは、契約で下がる部分(基本料金やプラン)だけを先に見直す
- Cは次の更新・車検・金利の見直し時期をカレンダーに書いておく
この記事の平均額は、総務省統計局「家計調査」2025年平均(2026年3月公表)によるもので、受信料などの料金は2026年10月時点で確認できた公表情報です。料金やプランは変わることがあるので、手続きの前に各事業者の公式案内で最新の条件を確認してください。
参考にした情報源
※ 本記事は 2026年10月21日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。
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