スマートフォンを「2年後に返せば実質半額」と説明する端末購入プログラムは、毎月の通信費を抑える手段として定着しています。ただし2026年に入り、大手3社そろって返却時にかかる費用が新設されました。この記事は2026年8月31日時点で各社が公表している内容をもとに、この「安くなる」がどんな前提の上に成り立っているのかを整理します。
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2026年、返却プログラムに「返すときの費用」が加わった
先に動いたのはソフトバンクです。2025年8月6日に発表し、同年8月20日から「新トクするサポート+」の提供を開始しました。従来の「プレミアム」「バリュー」「スタンダード」の3本を一本化したもので、返却して特典を受けるときに特典利用料(最大22,000円)がかかる設計になっています。
KDDIは2026年2月18日に「スマホトクするプログラム+」を発表し、2月26日に提供を開始しました。旧「スマホトクするプログラム」の対象機種の取り扱いは2026年2月25日で終了しています。新プログラムでも、返却時に特典利用料(最大22,000円)の支払いが必要です。
NTTドコモは2026年3月5日から「いつでもカエドキプログラム」「いつでもカエドキプログラム+」にプログラム利用料を設定しました。金額は機種・容量によって異なり、ドコモの案内ではiPhone 17e 256GBで22,000円(税込)と示されています。2026年3月4日までにプログラムへ加入した人には発生しません。
ここが今回いちばん大きな変化です。2026年以降に加入する場合、「返却すれば残りの支払いが消える」だけでは説明が足りず、返却の瞬間に最大22,000円の請求が立ちうる、という前提に変わっています。
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「実質半額」が成立するための前提条件を分解する
返却できる期間が決まっている
各社とも、返せばいつでも得になるわけではありません。ドコモの「いつでもカエドキプログラム」は残価設定型24回払いが条件で、23か月目までに返却すると24回目(残価)の支払いが不要になります。auの「スマホトクするプログラム+」も24回払いの残価設定型で、返却時期は購入後13か月目から25か月目とされています。
ソフトバンクの「新トクするサポート+」は48回払いで、13〜24か月目に申し込む特典Aなら最大36回分、25か月目以降の特典Bなら最大24回分の支払いが不要になります。楽天モバイルの「買い替え超トクプログラム」は48回払いで、返却できるのは25か月目から47か月目です。同じ「返却型」でも、得になる窓の位置が社ごとに1年近くずれている点は押さえておきたいところです。
端末は手元に残らない
当たり前のようでいて見落としやすいのが、半額の対価が端末そのものだという点です。返却すれば、売却して現金化する選択肢も、家族へ譲る選択肢も、サブ機として使い続ける選択肢もなくなります。「半額で買えた」のではなく「2年分の使用権を買った」と読み替えたほうが、家計の帳簿としては正確です。
支払い方法や名義の条件がある
楽天モバイルの買い替え超トクプログラムは、18歳以上で、かつ契約者本人名義の楽天カードによる48回払いが条件です。回線契約の有無は問われませんが、カードを持っていない、あるいは家族名義のカードで払いたいという場合は入り口で外れます。
利用料が消える条件は「同じ会社で次を買う」こと
新設された利用料には、いずれも免除のしくみが用意されています。ドコモは「ドコモで買替えおトク割」(2026年3月5日提供開始)で、対象機種をドコモで購入し、購入日を1日目とした31日間のうちにプログラムの利用申し込みを完了して利用料を支払い、割引の適用を申し出ることが条件です。ドコモの案内では、新規契約やMNPを伴う購入は対象外とされています。auは「au買替特典」、ソフトバンクは「買替え応援割」で、いずれも自社で次の機種に買い替えることが免除の前提です。
言い換えると、2年後に他社へ乗り換えたい人は、利用料を払って返すか、返さずに残価・残債を払い切るかの二択になりやすいということです。ケータイ Watchは2026年2月26日の記事で、この構造について、回線から端末に形を変えた縛りになるおそれがあると指摘しています。「実質半額」が最も安く効くのは、同じ会社で買い替え続ける人だけ、という条件付きの効果だと理解しておくのが安全です。
返却できない・返しても安くならないケース
返却時には査定があります。ドコモの案内では、査定基準を満たさない機能不良品の場合、補償サービス未加入で22,000円(税込)、加入していれば2,200円(税込)の故障時利用料が発生します。「いつでもカエドキプログラム+」では返却時期によっても変わり、22か月目までの返却で5,500〜12,100円、23か月目以降は一律2,200円と案内されています。auも、電源が入らない・画面ガラスの破損・筐体変形などで査定に通らない場合、22,000円(故障紛失サポート加入時は2,200円)としています。
楽天モバイルは、保証未加入時の故障費用を機種ごとに設定しています。公式ページではiPhone全モデルとその他Androidが22,000円(不課税)である一方、Galaxy Z Flip8は40,000円、Galaxy Z Fold8/Fold8 Ultraは68,000円と、折りたたみ機種だけ桁が違います。保証に加入していればiPhoneの画面修理3,700円、画面以外12,900円、Androidは損傷内容を問わず6,600円まで下がるとされています。
その補償自体もコストです。ソフトバンクの特典A(13〜24か月目の申し込み)は「あんしん保証パック」への継続加入が条件で、月額は550〜1,980円。単純に24か月分を掛けると13,200〜47,520円になります。「返却する前提で入るしかない補償」は、実質価格の一部として先に足しておくべき固定費です。
判断は「実質」ではなく2年間の総支出で
比較のものさしを「実質◯円」から「2年間で口座から出ていく総額」に変えると、迷いが減ります。足すのは、1〜23回目(または特典適用までの回数分)の分割金の合計、返却時の利用料(免除されなければ最大22,000円)、補償の月額×利用月数、事務手数料、査定に落ちたときの故障費用です。楽天モバイルは機種変更時に事務手数料3,300円がかかります。
引く側に入るのは、返却せず手元に残して売った場合の買取見込み額です。ただし中古相場は新機種の発売時期や在庫状況で日々変動するとされ、2年後の金額を今の数字で固定して計算することはできません。比較するなら、契約時ではなく返却期限が近づいた時点で、そのときの相場と残価・利用料を並べて判断するのが現実的です。
もうひとつの軸は使用年数です。2年ごとに買い替える人は返却型が噛み合いますが、4年以上使うつもりの人は、残価を払い切って持ち続けたほうが総額を読みやすい場合があります。端末代は毎月の通信料に混ざって請求されますが、性質は分割の借金です。家計の固定費台帳では、回線料金と端末の分割金を分けて書いておくと、見直しのときに判断しやすくなります。
前提そのものが動く可能性がある
制度側も固定されていません。電気通信事業法第27条の3では、端末の購入等を条件とする利益提供は原則4万円(税抜)、新規契約を条件とする利益提供は2万円(税抜)が上限とされ、この上限規制は2023年12月27日に施行されました。価格帯によって販売価格の半額までを認める例外も設けられています。
総務省は2025年12月に「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」を設置し、2026年1月14日にはMNO4社からの説明を受けています。短期解約を繰り返すいわゆる「ホッピング」への対応、端末購入プログラムの残価率の算出ルール、27条の3の規律の見直しなどについて、2026年夏ごろに一定の結論を出す方針とされていました。結論の内容によっては、ここまで整理した各社の条件も再び変わります。
本記事の数値・条件はいずれも2026年8月31日時点で各社および総務省が公表している情報に基づくものです。プログラムの利用料や免除条件、故障費用は機種単位で設定されており、加入時期によっても扱いが違います。申し込みの前に、対象機種ごとの金額を公式の案内で必ず確認してください。
参考にした情報源
- いつでもカエドキプログラム | キャンペーン・特典 | NTTドコモ
- いつでもカエドキプログラム+ | キャンペーン・特典 | NTTドコモ
- ドコモで買替えおトク割 | キャンペーン・特典 | NTTドコモ
- いつでもカエドキプログラムのプログラム利用料について教えてほしい。 | よくあるご質問 | ahamo
- スマホをおトクに購入できる「スマホトクするプログラム+」を提供開始 | KDDI ニュースルーム
- スマホトクするプログラム | スマートフォン・携帯電話 | au
※ 本記事は 2026年8月31日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。
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