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固定費は「金額を誰が決めているか」で3つの層に分かれる
固定費の見直しは、つい金額の大きい順に並べたくなります。ただ、金額が大きい項目ほど契約が複雑で、解約金や割引の連鎖がぶら下がっていて、着手までに時間がかかります。順番を決めるときに役立つのは、金額の大小より「その金額を、誰が決めているのか」という切り口です。
毎月の支払いは、この基準で3つの層に分かれます。
- 第1層/自分が決めている:動画や音楽のサブスク、通信の有料オプション、使っていない2回線目。自分の操作だけで止められる
- 第2層/事業者が決めている:携帯、光回線、電気、ガス、保険。単価は相手が決めるが、どの会社のどのプランを選ぶかは自分で決められる
- 第3層/制度が決めている:税金、社会保険料、再生可能エネルギー発電促進賦課金、NHK受信料。金額の交渉余地はなく、条件に当てはまるかどうかだけが効く
削れる順番は、そのまま第1層→第2層→第3層です。第1層は自分ひとりの判断で完結し、翌月の請求から効きます。第2層は相手の手続きが挟まるぶん、効き始めるまでに数週間から数か月かかります。第3層は金額そのものを動かせず、できるのは「条件に当てはまるかを確認する」ことだけです。
やっかいなのは、第3層が家計簿に現れにくいことです。生命保険文化センターが総務省「家計調査年報」(2025年)をもとに公表している数値では、2人以上の勤労者世帯の1か月の消費支出は約34万6,300円、うち交通・通信が約5万6,900円です(2026年9月11日時点で同センターのサイトに掲載)。ただし家計調査でいう「消費支出」に、税金と社会保険料は含まれません。これらは非消費支出として別に集計されます。給与明細から天引きされる第3層は、費目の一覧を眺めているだけでは、そもそも視界に入らないということです。
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第1層:自分が決めている固定費は、やめた翌月から効く
第1層の特徴は、相手の承諾も工事も要らないことです。動画配信、音楽、クラウドストレージ、通信会社の端末補償やセキュリティオプション、家族の誰も使っていない2回線目。いずれも自分の操作だけで止まり、判断を間違えても入り直せます。だからここは「迷ったら止める」で構いません。
確認しておきたいのは日割りの有無です。多くのサブスクは解約しても期間の途中では返金されず、契約期間の終わりまで使える形を取ります。逆に、月末に手続きすると当月分がまるごと請求されるものもあります。次の更新日と、解約後にいつまで使えるのかを、申し込み時の画面か会員ページで確かめてから押すほうが確実です。
この層に近い性質を持つのが、使った量で自動的に料金が変わる段階制のプランです。たとえば楽天モバイルのRakuten最強プランは、データ利用量が3GBまでなら月1,078円、20GBまでなら2,178円、それを超えると3,278円(いずれも税込。2026年9月11日時点の公式サイト表示)という3段階で、手続きなしに料金が上下します。最強家族割の適用で毎月110円引きになるとも案内されています。定額プランだと使わなかった月も同じ額が出ていきますが、段階制なら「使わない」という行動がそのまま請求額に反映されます。自分の行動と請求額が直結しているかが、第1層かどうかの目安です。
第2層:事業者が決める固定費は、「替える」以外に効く手が減っている
第2層では、単価を決めるのは事業者です。こちらにできるのは、プランを替える、会社を替える、割引条件を満たす、の3つに限られます。しかも「割引条件を満たす」という一番手軽な手は、近年やせ細っています。
典型が口座振替割引です。電気代やガス代を口座振替にすると月55円が割り引かれる仕組みは長く定番の節約技でしたが、東京電力エナジーパートナーは2024年10月分から、東京ガスは2025年3月検針分から、この割引を廃止したと報じられています(ガスエネルギー新聞、2024年10月)。キャッシュレス化で支払い方法が多様になったことが理由とされています。つまり「支払い方法を変えるだけで安くなる」は、会社によってはもう成立しません。まず自分の契約で割引が生きているかを確認するところからになります。
第2層の中でも、手続きの重さは3段階に分かれます。
- オプションを外す:会員ページで完結し、当月または翌月から反映されることが多い
- プランを変える:同じ会社の中での変更。適用が当月からか翌月1日からかは会社ごとに違う
- 会社を変える:申し込み、審査、切り替え日や工事日の調整が入り、効き始めるまで数週間から2か月程度かかることがある
「今月の支出を下げたい」ときに会社の乗り換えから手をつけると、いちばん手間をかけた月の請求はほとんど変わりません。急ぐなら第1層、腰を据えるなら第2層、と分けて考えるほうが現実的です。
第3層:制度が決める固定費は、2026年10月に入口が変わる
第3層は金額を動かせません。その代わり、入口の条件が変わると、家計への当たり方が一気に変わります。2026年10月はその節目にあたります。
パートやアルバイトで働く人が勤務先の健康保険・厚生年金に入る要件は、現在週の所定労働時間20時間以上/所定内賃金が月8.8万円以上/2か月を超える雇用の見込み/学生でない/従業員51人以上の企業の5つです。日本年金機構は、このうち月8.8万円以上という賃金要件について、最低賃金以上で週20時間以上働く場合は所定内賃金が月額8.8万円以上となるため、令和8年10月に撤廃予定だと案内しています(2026年9月11日時点)。いわゆる「106万円の壁」が外れ、判断の軸が労働時間だけになるということです。
背景にあるのが最低賃金の上昇です。週20時間働いて月8.8万円に届くかどうかの分岐点は、時給でおよそ1,016円。厚生労働省が2026年9月3日に公表した内容によれば、2026年度の地域別最低賃金は47都道府県すべてで答申が出そろい、全国加重平均は1,177円(前年度から56円の引き上げ)、最高額1,280円、最低額1,085円で、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定とされています。最低額の県でも1,016円を上回るため、週20時間働けば賃金要件は自動的に満たされる計算になります。
企業規模の要件も段階的に縮小される予定です。日本年金機構の案内では、現在の51人以上から、令和9年(2027年)10月に36人以上、令和11年(2029年)10月に21人以上、令和14年(2032年)10月に11人以上へと引き下げられていくとされています。いま勤務先が対象外でも、数年のうちに対象に入る可能性があります。
週20時間を超えると、手取りから月いくら引かれるのか
加入すると、給与から健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料が引かれます。2026年度(令和8年度)の料率は次のとおりです。
- 健康保険(協会けんぽ):2026年3月分(4月納付分)から改定。東京都9.85%、大阪府10.13%、愛知県9.93%。40歳から64歳は全国一律の介護保険料率1.62%が加わり、2026年4月分(5月納付分)からは子ども・子育て支援金0.23%も加算される。いずれも労使折半
- 厚生年金:18.3%で固定(平成29年9月以降)。本人負担はその半分の9.15%
- 雇用保険:2026年4月からの一般の事業で、失業等給付等にかかる労働者負担は5/1,000(0.5%)
東京都の事業所に勤める40歳未満の人で、標準報酬月額が9万8,000円に当てはまる場合、厚生年金の本人負担は月8,967円(日本年金機構の保険料額表の折半額)。健康保険は9万8,000円の9.85%の半分で約4,826円、子ども・子育て支援金の本人負担が約113円です。雇用保険は給与額の0.5%なので、月給10万円なら500円。合わせて月1万4,000円台という水準になります。
ただし、この層はほかの固定費と性質が違います。厚生年金の保険料は将来の老齢厚生年金に反映され、健康保険に入れば傷病手当金や出産手当金の対象にもなります。固定費のなかで唯一、支払った分に戻りがある層なので、引かれる額だけで判断すると見誤ります。なお週20時間に届かない働き方の場合は、家族の健康保険の被扶養者でいられるかという別の収入要件(いわゆる130万円の壁)が関係します。こちらは今回の変更の対象ではありません。
従業員50人以下の勤務先には、3年間の負担軽減がある
厚生労働省の「社会保険の加入対象の拡大について」では、従業員数50人以下の企業で新たに加入対象となる標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者について、事業主が通常より多く保険料を負担することで本人の負担を軽くできる仕組みを設け、事業主が追加で負担した分を3年間支援するとしています(2026年9月11日時点の同省サイト)。勤務先がこの仕組みを使うかどうかで手取りへの影響が変わるため、対象になりそうな人は会社に確認しておくと見通しが立ちます。
3つの層に仕分けてから、削る順番を決める
実際の手順に落とすと、次の流れになります。
- 1. 書き出す:直近3か月分の口座明細とカード明細から、毎月出ていくものをすべて拾う。給与明細の控除欄も忘れずに開く
- 2. 層を振る:各項目の横に「自分/事業者/制度」と書き込む。迷ったら「自分の操作だけで止められるか」で判断する
- 3. 第1層から着手:金額が小さくても先に片づける。今月中に結果が出て、判断の練習にもなる
- 4. 第2層は下調べしてから:解約時の費用、セット割引が連鎖して消えないか、効き始めるまでの期間を確認する
- 5. 第3層は条件を確認する:削る対象ではなく、免除・軽減・特例に当てはまるかを調べる作業。申請期限があるものが多い
この順番には、もうひとつ理由があります。第1層と第2層をいくら動かしても第3層は動きませんが、逆に第3層の条件、つまり働き方が変わると、世帯の手取りという前提そのものが変わり、第1層・第2層の判断もやり直しになるからです。2026年10月に合わせて働き方の見直しを考えている世帯は、先に第3層の見通しを立ててから第1層・第2層に手をつけるほうが、手戻りが少なくなります。
この記事の数字が、いつ時点のものか
ここで挙げた金額と料率は、2026年9月11日時点で各公式サイトに掲載されている内容です。第2層・第3層はどちらも改定の周期を持っています。協会けんぽの保険料率は毎年3月分(4月納付分)から、雇用保険料率は毎年4月から、地域別最低賃金は例年10月前後に改定されます。通信や電気・ガスの料金は随時変わります。
とくに短時間労働者の社会保険適用については、施行日の扱いや運用の細部が今後示される部分も残っています。自分が対象になるかどうかは勤務先の判断もかかわるため、勤務先の担当部署、年金事務所、各社の公式発表で最新の内容を確認してください。層に仕分ける枠組みは変わりませんが、枠に入れる数字は毎年入れ替わると考えておくのが安全です。
参考にした情報源
- 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構
- 社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省
- 全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました|厚生労働省
- 令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|全国健康保険協会
- 厚生年金保険の保険料|日本年金機構
- 厚生年金保険料額表(令和8年度)|日本年金機構
※ 本記事は 2026年9月11日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。
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💡 固定費見直しの「最初の一手」はスマホ代
固定費の中で最も簡単に下げられるのが通信費。楽天モバイルなら無制限でも月3,278円、使わない月は1,078円まで自動で下がる段階制。大手無制限との差はおよそ年5万円。
✓ このリンクは「楽天従業員紹介」経由:
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