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同じ「月1,000円下がった」でも、続く値引きと戻る値引きがある
固定費の見直しでは「月いくら下がったか」だけを見がちですが、家計の判断材料にするにはもう一段の分解が必要です。それはその値引きが何か月続くのかという時間の軸です。契約を替えたことで翌月以降ずっと続く1,000円と、3か月で終わる補助金の1,000円は、年単位で見ると効果がまったく違います。
この記事では2026年9月4日時点で確認できる公表資料をもとに、固定費を「①一度の手続きでずっと効くもの」「②期限が来ると自動で戻るもの」「③自分では動かせず、しかも上がるもの」の3層に分け、削減の優先順位を整理します。数字はすべて出典と時点を添えました。
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第1層:一度の手続きで恒久的に下がるもの
優先順位の最上位は、手続きが一度で済み、その後は何もしなくても差額が続くものです。代表が通信費です。
MM総研が2026年2月17日に公表した調査(2026年1月実施、有効回答8,830件)によると、スマートフォンの月額利用料金の平均は3,997円で、前回調査から120円低下しました。カテゴリー別の内訳は次のとおりとされています。
- MNO4ブランド:4,656円
- サブブランド:3,119円
- MVNO:1,830円
この差は毎月続きます。MNO4ブランドの平均4,656円からサブブランドの平均3,119円に動いた場合、単純計算で月1,537円、年18,444円。MVNOの平均1,830円まで下げた場合は月2,826円、年33,912円の差になります。平均値どうしの比較なので個々の契約や使うデータ量で結果は変わりますが、一度動かせば差額が翌月以降ずっと積み上がるという性質は共通です。
「恒久」かどうかの見分け方
同じ契約変更でも、恒久に下がるものと期限付きのものが混ざります。分かれ目は、下がった理由が料金表そのものにあるのか、期間限定の割引にあるのかです。契約から◯か月間◯円引き、といった条件が付いていれば、それは第1層ではなく次に説明する第2層に分類して数えるほうが安全です。申込画面や重要事項説明の「適用期間」欄を必ず確認してください。
第2層:期限が来ると自動で戻る値引き(2026年夏の電気・ガス料金支援)
いま多くの世帯の請求書に乗っているのが、この第2層の典型です。経済産業省は2026年6月12日に、2026年7月・8月・9月使用分の電気・都市ガス料金の値引きを行うための特例認可・承認を公表しました。各社および電力比較サイトの解説によると、値引き単価は次のとおりとされています。
- 電気(低圧):7月使用分3.5円/kWh、8月使用分4.5円/kWh、9月使用分3.5円/kWh
- 電気(高圧):7月1.8円/kWh、8月2.3円/kWh、9月1.8円/kWh
- 都市ガス:7月14.0円/㎥、8月18.0円/㎥、9月14.0円/㎥
注意したいのは反映のタイミングです。7月使用分は8月の請求に反映されるため、実際に安くなるのは8月から10月に支払う料金です。申請は不要で、契約中の会社が事業に参加していれば自動的に差し引かれます。
月300kWh使う世帯なら、8月使用分で約1,350円、9月使用分で約1,050円の値引きです。そして10月使用分(多くは11月請求)からは補助がありません。10月以降の延長について、2026年9月4日時点で政府からの正式発表は確認できていません。今後の政策判断で変わる可能性はあるため、公式の発表を確認してください。
第3層:自分では動かせず、しかも上がるもの(託送料金と再エネ賦課金)
3層目は、小売会社を乗り換えても同じエリアなら基本的に同額かかる部分です。ここは削減対象ではなく、先に織り込んでおく前提として扱います。
まず託送料金(送配電網の利用料)です。中国電力ネットワークは2026年8月24日、託送供給等約款の変更届出を行い、経済産業省が同日受理したと公表しました。低圧(電灯)の単価は9.34円/kWh(税抜)から10.46円/kWhへ、1.12円の引き上げで、実施日は2026年11月1日です。同社は物価・労務費・金利の上昇と、需要減による料金収入の減少を理由に挙げています。
中部電力パワーグリッドも同じ2026年8月24日、料金制度専門会合の審査結果を前提とした単価を公表しており、低圧は9.13円/kWhから10.76円/kWh(+1.63円)、高圧は3.49円/kWhから3.93円/kWh(+0.44円)としています。ただしこれは大臣承認前の暫定値で、正式な単価は改めて通知される見込みとされています。関西電力送配電も2026年7月10日に収入見通しの変更承認申請を行っており、適用予定期間は2026年11月1日から2028年3月31日までの17か月です。
もうひとつが再生可能エネルギー発電促進賦課金です。2026年度の単価は1kWhあたり4円18銭(税込)で、2026年5月分から2027年4月分までに適用されます。2025年度の3円98銭から20銭の引き上げです。月300kWhなら毎月1,254円で、これは電力会社を替えても変わりません。
3層を並べると、9月から12月に何が起きるか
月300kWh・中部エリアを例に、請求月ベースで並べると次のようになります(低圧単価は税抜、燃料費調整や小売の料金表は考慮していない単純計算です)。
- 9月請求(8月使用分):補助 約1,350円引き
- 10月請求(9月使用分):補助 約1,050円引き
- 11月請求(10月使用分):補助なし
- 12月請求(11月使用分):補助なし+託送料金の引き上げ 約489円
託送料金の改定は2026年11月1日から適用予定なので、家庭の請求に効いてくるのは11月使用分=多くは12月請求以降です。つまり9月の請求書を「いまの実力値」として基準にすると、3か月後には約1,800円ぶん条件が悪化している計算になります。
見直しの順番は、この構造から自然に決まります。第一に第1層(通信の契約先、使っていない回線やサービスの解約)を先に片づけ、第二に手元の割引の適用期限を書き出して第2層を洗い出し、第三に第3層の上昇分をあらかじめ予算に足しておく。比較する基準月は補助が乗っている8〜10月請求を避け、前年同月と比べるか、補助単価×使用量を足し戻した額で比べるのが実態に近くなります。
数字を確かめるときに気をつけたい前提
ここまでの試算には前提があります。託送料金の単価はエリアごとに異なり、本文の数値は税抜表示です。中部電力パワーグリッドの数値は承認前の暫定値であり、確定値は各社の変更届出で改めて示されます。電気・ガス料金支援の値引き額は使用量に比例するため、オール電化やガス種別によって体感は変わります。
また、家庭の電気代そのものは季節変動が大きく、総務省統計局の家計調査でも月ごとに大きく振れます。単月の請求額だけで判断せず、12か月の合計や前年同月比で見るほうが誤りが少なくなります。制度・単価はいずれも今後変更される可能性があるため、契約先の会社や各官庁の公式発表で最新の内容を確認してください。
参考にした情報源
- 託送供給等約款の変更届出について | 中国電力ネットワーク株式会社
- 「託送供給等に係る収入の見通し」の変更承認申請に係る料金制度専門会合の審査結果を前提とした託送料金単価の算出に関するお知らせ | 中部電力パワーグリッド
- 託送料金における収入の見通しの変更承認申請について(2026年7月10日掲載) | 関西電力送配電株式会社
- 2026年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価について | 中部電力ミライズ
※ 本記事は 2026年9月4日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。
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