電気の契約アンペアを下げる手順とつまずく条件|40A→30Aで月311円、効かないエリアもある【2026年8月】

  • 2026.08.18
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まず確認:自分のエリアは「アンペア制」か「最低料金制」か

電気の固定費を減らす手段として真っ先に挙がるのが、契約アンペアの引き下げ(アンペアダウン)です。多くの場合は工事費も解約金もかからず、一度手続きすれば毎月の基本料金が下がり続けます。ただしこの手は、全国どこでも効くわけではありません。最初に確認すべきは、住んでいるエリアの料金体系です。

旧一般電気事業者10社のうち、北海道・東北・東京・中部・北陸・九州の各エリアは、契約アンペアごとに基本料金が決まるアンペア制を採用しています。家庭向けの代表的なメニューは「従量電灯B」で、10Aから60Aまでの範囲で契約容量を選びます。

一方、関西・中国・四国・沖縄の各エリアは最低料金制です。関西電力の公式サイトでも従量電灯Aについて「基本料金はございませんが、15kWhまでは一律の最低料金がございます」と説明されており、アンペアごとに基本料金が分かれる仕組みにはなっていません(2026年8月時点で確認)。

つまりこの4エリアでは、契約アンペアを下げても請求額は変わりません。アンペアの設定は「同時にどれだけ使えるか」を決めるだけで、節約策にはならない、というのが出発点になります。

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下げると毎月いくら減るのか(2026年8月時点の公表単価)

アンペア制エリアの代表として、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bで見てみます。基本料金は10Aにつき311円75銭(税込)という単純な比例です。新電力ネットが2026年3月24日時点で掲載している単価では、30Aが935円25銭、40Aが1,247円、50Aが1,558円75銭、60Aが1,870円50銭となっています。自由料金の「スタンダードS」も基本料金は同水準とされています。

ここから計算できる削減額は次のとおりです。

  • 50A→40A、または40A→30A:月311円75銭、年間3,741円
  • 60A→40A:月623円50銭、年間7,482円
  • 60A→30A:月935円25銭、年間11,223円

金額としては派手ではありません。ただし基本料金は電気を1kWhも使わなくても発生する部分なので、削減効果は使用量に左右されず、毎月確実に積み上がります。

従量部分の変動とは性質が違う

同じ電気代でも、使用量に比例する部分は外部要因で動きます。再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は2026年度が4.18円/kWhで、2025年度の3.98円から0.2円上がりました。適用は2026年5月検針分から2027年4月検針分までとされています。

逆方向の支援もあります。経済産業省は2026年7月・8月・9月使用分の電気・ガス料金支援について特例認可・承認を行っており、電気の値引き単価は7月と9月が1kWhあたり3.5円、8月が4.5円とされています。申請は不要な仕組みですが、9月使用分で区切られた時限的な措置です。

従量部分は制度と燃料価格で上下し、支援には終期があります。それに対して基本料金の引き下げは、自分の契約を変えた時点で効き始め、戻さない限り続きます。額の大小より「効き方の性質」で位置づけると判断しやすくなります。

手続きの流れ:申込先は契約中の小売電気事業者

アンペア変更は送配電会社ではなく、いま契約している小売電気事業者に申し込みます。大手電力から新電力に切り替えている場合も、窓口は契約先の新電力です。手順は次の5段階になります。

  • 1.現在の契約容量を確認する:検針票(電気ご使用量のお知らせ)やマイページ、分電盤のアンペアブレーカーの表示で確認できます。
  • 2.必要なアンペア数を積み上げる:同時に使う家電のアンペアを足し算します。
  • 3.申し込む:東京電力エナジーパートナーの場合、契約内容の変更ページから24時間Webで申し込めます。Webで完結しないケースはカスタマーセンターへの電話になります。
  • 4.遠隔切替または工事:スマートメーターが設置済みなら原則として工事も立ち会いも不要です。家庭用(低圧)のスマートメーターは2024年度末までに全国で設置が完了したとされています。
  • 5.日割りで精算される:東京電力エナジーパートナーは、基本料金を変更日から日割りで精算すると案内しています。

2の積み上げに使える目安として、東京ガスは主な家電のアンペア数を公開しています。電子レンジ(25L前後)14A、ドライヤー12A、炊飯器(3合炊き前後)5.8A、洗濯機(6kg前後)4.1A、掃除機3〜8A、冷蔵庫(300L前後)1.3A、テレビ(32型)0.7A、エアコン(冷房時10畳用)は冷房1.5〜9A・暖房1.3〜14.3Aです。同社は「エアコン8A、冷蔵庫1.3A、電子レンジ14Aで合計約23A」という例を挙げ、この場合は30A以上の契約が必要だと説明しています。

また、申し込んだ当日に切り替わるわけではありません。北陸電力は申し込み日の翌日から起算して3日以上先の日程を受け付けるとし、休日を挟む場合は休日を除く3日前までとしています。九州電力も工事希望日を2営業日以降としており、お盆や年末年始などの前後は日程が調整される場合があるとしています。

つまずく条件①:一度下げると原則1年は戻せない

最大の落とし穴がここです。東京電力エナジーパートナーのサポートページ(2024年9月10日更新)は「契約開始後、1年間は変更できません」と明記し、1年間で最も電気使用量が多い時期のアンペア数で契約するよう案内しています。中部電力ミライズでも、一度変更すると原則1年は変えられない扱いとされています。

九州電力はさらに踏み込んで「夏場のみのご契約容量増加等は承れません」という注意書きを置いています。季節ごとに上げ下げする使い方は、そもそも想定されていないということです。

したがって判断基準は「平均的な月」ではなく、1年で一番同時に使う瞬間になります。ここで見落としやすいのがエアコンの暖房です。前述の東京ガスの目安でも、10畳用エアコンは冷房が1.5〜9Aなのに対し暖房は1.3〜14.3Aと幅が大きく、上限は冷房より高くなっています。夏の使用実績だけを見て下げると、冬にブレーカーが落ちるうえ、1年間は戻せません。

ブレーカーが落ちること自体は事故ではありませんが、パソコン作業の中断や機器の再設定など実害は出ます。年間3,741円の削減と天秤にかけて、余裕を1段残しておく判断も十分に合理的です。

つまずく条件②:設備と建物の制約

次に多いのが設備側の事情です。そもそも手続きを受け付けてもらえないケース、工事が必要になるケースが実際にあります。

  • アンペアブレーカーが付いていない:北陸電力は、アンペアブレーカーを取り付けていない場合は変更できないとしています。
  • 単相2線式の住宅:古い住宅に多い単相2線式は30Aまでが基本で、40A以上にするには単相3線式への改修(幹線の張り替えと分電盤の取り替え)が必要になります。下げる方向では問題になりませんが、「後から戻す」ときの現実的なハードルになります。
  • 屋内配線の容量不足:九州電力は、屋内配線の容量不足などにより希望のアンペアに変更できない場合があると案内しています。
  • 60Aを超える契約:北陸電力・九州電力ともに、60A超への変更はインターネットでは申し込めず、電気工事店や保守センターへの相談が必要としています。
  • 集合住宅:九州電力はアパート・マンションでは所有者や管理者の承諾が必要な場合があるとしており、東京ガスも集合住宅で契約容量を増やす際は事前に建物管理者の許可が必要としています。建物全体の受電容量に上限があるためです。

工事費については、九州電力が無料と案内し、施工は九州電力送配電が行うとしています。東京電力エナジーパートナーも、スマートメーター設置済みなら原則立ち会い不要としつつ、設備状況によっては立ち会いが必要な場合があるとしています。「原則不要」であって「必ず不要」ではない点は押さえておきたいところです。

つまずく条件③:プランによっては「下げる意味」がない

3つ目は契約プラン側の前提です。アンペア制エリアに住んでいても、プランによっては手続きの対象外だったり、下げても金額が1円も変わらなかったりします。

まず対象メニューの制限です。九州電力のWeb申し込みは従量電灯A・従量電灯B・スマートファミリープラン・JALでんきBが対象で、それ以外は営業所やコールセンターへの電話が必要とされています。東京ガスの電気も、基本プラン・ずっとも電気1・ずっとも電気1Sが対象で、契約後に送付される「電気の契約内容のお知らせ」ハガキが手元に届くまでは手続きできないと案内されています。契約直後に思い立っても、すぐには動かせないということです。

次にオール電化向けプランです。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lのような夜間割安型のメニューは契約容量がkVA単位で設定されており、アンペアを1段ずつ削るという発想がそのままは当てはまりません。エコキュートやIHの立ち上がりを考えると、容量を削る余地自体が小さいケースもあります。

そして見落とされがちなのが基本料金0円型のプランです。楽天でんきの「プランS」は契約容量10〜60Aが対象ですが基本料金は0円で、アンペアを下げても請求額は変わりません。楽天モバイルは2026年2月25日から、オール電化世帯向けの新プランも基本料金0円で提供を開始しています。この型では、契約アンペアは「同時に使える上限」を決める設定でしかなく、アンペアダウンによる節約は完全な空振りになります。検針票やマイページの「基本料金」欄が0円かどうかで、すぐに判別できます。

触る前に決めておく3つのこと

ここまでを手順として並べ直すと、確認の順番は次のようになります。

  • エリアの料金体系:関西・中国・四国・沖縄なら、そもそも基本料金がアンペアで動きません。
  • 契約中のプランに基本料金があるか:基本料金0円型やkVA契約型では、効果が出ないか考え方そのものが変わります。
  • 1年戻せない前提での冬ピーク試算:夏の実績ではなく、暖房と調理家電が重なる瞬間で積み上げます。

この3つが揃って初めて、40A→30Aで年間3,741円といった数字が現実の削減になります。逆に言えば、条件を確認せずに申し込むと、効果ゼロか、1年間の不便かのどちらかを引き当てることになりかねません。

本文で挙げた単価・条件は、2026年8月時点で各社が公表している内容にもとづいています。料金単価は改定されることがあり、申し込みの受付条件や工事の扱いも事業者ごとに異なります。実際に手続きする前に、契約している電力会社の公式サイトで最新の単価と条件を確認してください。

参考にした情報源

※ 本記事は 2026年8月18日 時点で公開されている情報を元に作成しています。制度や仕様は変更されることがあるため、判断の前に公式の発表をご確認ください。

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